【学習】寓話で学ぶ論理的思考と問題解決のフレーム by Fable-Lab
論理的思考を物語で学ぶ学習教材。MECEや問題解決のプロセスを直感的に理解できる良質なコンテンツです。
むかしむかし、ある深い森の中に「なぜなぜリス」のキキというリスが住んでいました。キキはとても賢いリスでしたが、困ったことがあるといつもパニックになり、木の実をあちこちに投げ散らかしてしまう癖がありました。 ある秋の日、キキの冬用の貯蔵庫から、大切なクルミが一つ、また一つと消え始めました。冬はもうすぐそこです。キキは泣き出しそうになりながら、森の賢者である老フクロウの元を訪れました。 「賢者様、助けてください!私の大切なクルミが盗まれています。犯人はきっと、意地悪なカラスか、食いしん坊のネズミに違いありません。今すぐ彼らの家を壊して、クルミを取り返さなくては!」 老フクロウは静かに瞬きをし、キキを大きな木の枝に座らせました。 「キキよ、落ち着きなさい。君は今、犯人を決めつけ、行動に移ろうとしている。しかし、それは『解決』ではなく『混乱』を招くだけだ。論理的な思考とは、まず『事実』と『推測』を分けることから始まるのだよ」 老フクロウは枝の上に三つの石を並べました。 「これが『MECE(ミーシー)』の考え方だ。漏れなく、ダブりなく、君の状況を整理してみよう」 第一の石には「場所」と書きました。 「クルミは貯蔵庫から消えた。それは事実だ。では、貯蔵庫に侵入できる者は誰か?カラスだけか?ネズミだけか?それとも、風で入り口が開いてしまった可能性や、キキ自身がどこかに置き忘れた可能性はないか?」 キキはハッとしました。自分はカラスとネズミのことしか頭になかったのです。 「第二の石は『仮説』だ」と賢者は言います。「君は『盗まれた』と仮定しているが、もし『貯蔵庫の底に小さな穴が開いていて、転がり落ちていた』としたらどうだ?」 キキは急いで貯蔵庫に戻りました。するとどうでしょう。貯蔵庫の壁の下に小さな亀裂があり、そこからクルミが外の斜面へと転がり落ちていたのです。カラスの仕業でも、ネズミの陰謀でもありませんでした。ただの「修繕不足」という物理的な問題だったのです。 「見つけた!」と叫ぶキキに、老フクロウは最後の一つの石を指差しました。「それが第三の石、『解決策の評価』だ。君は犯人を攻撃しようとした。もし実行していたら、無実の隣人を傷つけ、森の平和を乱していただろう。だが、穴を塞ぐという選択肢を選べば、クルミは守られ、誰とも争わずに済む」 キキは深く頷きました。 「論理的思考とは、怒りに任せて犯人を決めることではなく、事実を並べ、可能性を網羅し、最善の選択肢を選ぶことなんですね」 物語はここで終わりではありません。冬の間、キキは貯蔵庫の穴を塞ぐだけでなく、なぜ穴が開いたのかを考えました。「土の湿気で木が脆くなったからだ」と気づいたキキは、翌春、湿気に強い石の貯蔵庫を自分で作り上げました。 問題解決のプロセスは、一度で終わりではありません。 「事実の確認(What)」、「原因の分析(Why)」、「解決策の実行(How)」、そして「再発防止(Improvement)」。この四つのステップを回し続けることこそが、どんな難問にも立ち向かえる真の知性なのです。 森の冬は静かに更けていきます。キキの貯蔵庫には、論理という名の知恵が詰まったクルミが、今年も山のように積み上げられていました。あなたも何か困ったことがあったら、まずは三つの石を並べてみてください。きっと、怒りや不安の霧の向こう側に、解決への道筋が見えてくるはずですから。